企業型養鶏経営発展のメカニズム : 愛鶏園の玉子グループの事例研究
広島大学生物生産学部紀要 21 巻 1・2 号
75-89 頁
1982-12 発行
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種類 :
全文
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タイトル ( jpn ) |
企業型養鶏経営発展のメカニズム : 愛鶏園の玉子グループの事例研究
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タイトル ( eng ) |
Development Mechanism of the Entrepreneur Type of Laying Hen Farming : A case Study of the Aikeien Poultry Farms, Co.
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作成者 |
杉山 和男
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収録物名 |
広島大学生物生産学部紀要
Journal of the Faculty of Applied Biological Science, Hiroshima University
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巻 | 21 |
号 | 1・2 |
開始ページ | 75 |
終了ページ | 89 |
抄録 |
本稿では農家養鶏の発展形態と異なるところの企業型養鶏経営発展のメカニズムについて考察した。ここでは、父子兄弟組織が首都100キロ圏内に分散独立し、企業養鶏グループを確立したところの「愛鶏園グループ」を調査実例にして、その特質と発展法則の解明を行なった。
第1章では、企業型養鶏の概念とその発展経過について述べた。農民型養鶏と対比して最も異なる点は会社形態の法人組織をもって、資本利回り率の最大化を経営目標におき、内部経済の拡大によって規模経済を追求している点である。また企業型養鶏は規模や統合の仕方によって、生産志向型と流通志向型とに分けられるが、ここで対象にしたのは都市専業養鶏の個人経営から出発した生産志向的な中小企業型養鶏である。 第2章では、企業型養鶏の展開過程を3つの指標を用いて、個別専業養鶏期、企業型養鶏の生成期、発展期、成熟期の4つの発展段階こ区分し、各段階の特色について述べた。このうち企業型養鶏の生成期では、戦前築いた都市近郊養鶏を復活させ、土地節約的な豊橋養鶏のバタリー飼育法の改良普及によって都市に大規模養鶏経営を実現し、個人経営を会社形態の法人組織にした。 また発展期では、養鶏経営の規模拡大と同族的経営を目指して、3つの段階を経過した。発展前期には、都市型のアラ養鶏技術体系を受け継ぎ、経営管理の可能な範囲(30~40キロ)の相模原に転出し、別法人をつくって後継者を独立させた。発展中期には、ニューカッスルによる汚染対策を契機にして、首都100キロ圏内の埼玉北部へ転出し、畜産公害と鵜病対策の生産システムを考案実施して、10万羽養鶏を実現した。発展後期には、茨城に新天地を求め、いわゆる埼玉方式によって10万羽養鶏をつぎつぎに成立させ、三兄弟がそれぞれ三社の責任者となり、父親を会長とする愛鶏園玉子グループを形成した。 さらに成熟期では、第2次オイルショックによる燃料・包装費材の高騰の中で、分散グループ養鶏は、生鶏ふんの土地還元や鶏卵の首都圏内での販売などによって有利に展開してきた。さらに鶏卵需要の頭打ちの中での生産者対応の方向としては、鶏の栄養・飼料問題の合理化にあるとして企業養鶏仲間による新しい組織をつくった。 第3章では、企業型養鶏経営における動態的発展のメカニズムを解明するために、経営発展の誘因をあげ、3つの発展段階について具体的に述べた。 企業型養鶏経営の各発展段階は、都市近郊養鶏立地の首都30キロ圏から100キロ圏へと移動し、新天地への進出によって内部経済の拡大を遂げてきた。そこでは生産・流通・管理の技術革新が採択され、根本的革新は誘発的革新に連係して、それらの革新が相互に補完的に機能するように調整されている。しかし、これらは環境変化か主体的革新の採択によって破壊されていくという経営発展のメカニズムを例証した。 第4章では、企業型養鶏の経営管理体系と組織について考察を加えた。動態的発展は生産管理・販売管理・労務管理・財務管理のシステム化を捉がし、生産志向からマーケテイングを取り込んだ生産販売へと変ってきた。また組織面でも法人化は税務経理対策であったが、それが経営の集積へさらには集中へと進んできたのである。 This paper intends to clarify the development mechanism of an entrepreneur type of laying hen farming. This kind of form takes a different course from that of a family farm. With this in view, the author worked out a case study. The Aikeien Poultry Farms Co., with an amount of 450 thousands hens was taken up as a specimen among prominent entrepreneur type of laying hen farmings in the Kanto region. This company is composed of three independent farms tied together by father-son and brother relationships; it acquires scale merit by means of collective purchase of feed, information exchange, mutual security for credit, etc., although they are scattered within the range of a hundred kilometers around the capital. The company, at present, reached the stage of maturity after going through all the growing phases from its founding on. During these periods, the initial loaction was moved for reasons of manure pollution and diseases, and the company dispersed to suit better the sons independence. In the development mechanism of the entrepreneur type and the family farm type regarding laying hen farming the following differences are found. 1. The scale merit is realized by the enlargement of the internal economy in the company. 2. The way to expand internal economy is location changing from higher to cheaper price lands under the inflation. 3. The company is self-supporting (using no government funds). 4. Looking for upland crop areas in the suburbs, the company could systematize its production ancl succeeded in establishing a new type of laying hen farming.
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NDC分類 |
畜産業 [ 640 ]
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言語 |
日本語
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資源タイプ | 紀要論文 |
出版者 |
広島大学生物生産学部
農林水産研究情報センター
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発行日 | 1982-12 |
出版タイプ | Version of Record(出版社版。早期公開を含む) |
アクセス権 | オープンアクセス |
収録物識別子 |
[ISSN] 0387-7647
[NCID] AN00213621
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