ヒト甲状腺乳頭癌における癌関連遺伝子産物の発現とその生物学的意義 <原著>

広島大学医学雑誌 48 巻 5 号 291-303 頁 2000-10-28 発行
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タイトル ( jpn )
ヒト甲状腺乳頭癌における癌関連遺伝子産物の発現とその生物学的意義 <原著>
タイトル ( eng )
Expression and Biological Significance of Cancer-related Gene Products in Human Papillary Thyroid Carcinomas
作成者
山本 俊治
寄与者 国立情報学研究所
収録物名
広島大学医学雑誌
Medical journal of Hiroshima Universtiy
48
5
開始ページ 291
終了ページ 303
収録物識別子
[PISSN] 0018-2087
[NCID] AN00213202
抄録
ヒト甲状腺乳頭癌の癌関連遺伝子の生物学的意義を知る目的で, 21例のパラフィン標本を用いて, 癌関連遺伝子産物(c-erbB2,EGFR, EGF, TGF-α, p53,p27,c-Met, cyclinD1,cyclinE, cdc25B, E2F-1,CD44,nm23)の発現を免疫組織化学的に検討し, 発現した癌関連遺伝子産物相互の関連性を検討するとともに, 癌関連遺伝子産物の発現と臨床病理学的事項との関連性についても検討を行った。癌関連遺伝子産物の発現で新しい知見としては, cdc25Bの過剰発現は47.6%とほぼ半数に認められ, c-Metの発現は認められず, E2F-1免疫活性陽性例の割合は4.8%と少なかったことがあげられた。癌関連遺伝子産物相互の相関性については, cdc25Bの過剰発現とTGF-αおよびEGFRの発現との間に有意に相関を認め, EGFRの発現はcyclinD1の発現とも有意に相関が認められたことから, 細胞増殖シグナルによりcdc25BとcyclinD1が活性化を受ける可能性があること, 発癌にcdc25BおよびcyclinD1の過剰発現が大切な役割を果たしている可能性があることが示された。臨床病理学的事項との相関性については, nm23蛋白の発現抑制と気管傍リンパ節転移との間に有意な相関が認められ, nm23遺伝子は甲状腺乳頭癌においても転移抑制因子として機能している可能性があることが示された。
Twenty cases of papillary carcinoma of the thyroid, embedded in paraffin wax, was analyzed immunohistochemically for the expression of c-erbB-2,EGFR, EGF, TGF-α, c-Met, cyclinD1,cyclinE, p53,cdc25B, E2F-1,CD44,nm23 and p27. Significant statistical correlation was observed between reduced nm23 immunoreactivity and paratracheal lymph node metastasis. In addition, overexpression of cdc25B and cyclinD1 was significantly correlated with that of EGFR. These result suggests that the staining intensity of nm23 is associated with metastatic potential inversely in papillary carcinomas of the thyroid. Overexpression of cdc25B and cyclinD1 would be important factor in thyroid carcinogenesis.
著者キーワード
甲状腺乳頭癌
リンパ節転移
nm23
cdc25B
E2F-1
NDC分類
医学 [ 490 ]
言語
日本語
資源タイプ 紀要論文
出版者
広島大学医学出版会
発行日 2000-10-28
出版タイプ Version of Record(出版社版。早期公開を含む)
アクセス権 オープンアクセス
日付
[作成日] 2006-03-21
収録物識別子
[ISSN] 0018-2087
[NCID] AN00213202