広島大学生物生産学部紀要 Volume 27 Issue 2
published_at 1988-12

Studies on Keeping Quality and Freshness of the Marine Products

水産魚介類の品質および鮮度維持に関する研究
Kayama Mitsu
Makseno Djagal W.
Saito Minoru
Kobayashi Shoji
Tanno Kenji
Watai Masatoshi
Akutsu Shoji
Suzuki Hisayoshi
Yamamoto Tatsuo
Tominaga Sunao
fulltext
1.07 MB
41-1741.pdf
Abstract
戦後食糧事情の厳しかった時代は魚介類の鮮度判定および保鮮技術に関する研究が多く行われた。その後コールドチェーンの一応の確立によって防腐問題の解決が図られ、鮮度問題は解決されたかにみなされてきたが、一方で品質保持に関して種々な改良がなされ、急速・極低温冷凍技術が発達するとともに、氷温貯蔵技術の進歩がもたらされ、鮮度判定法としても従来のVBN判定からATP関連物質判定へと発展してきた。しかし今日200海里時代に入り、わが国の漁塞が著しい制約を受けるに及んで、水産資源の有限性に対する認識が昂まるとともに、水産資源の有効利用技術の開発が社会的に要請されるようになった。そのため、近時登場した鮮度保持剤を用いた沖締技術および保鮮包装剤について、それらの効果を検討しようとする研究を実施したので、報告する。

試験魚介類として、カキ、エビ、イワシ、サバ、タイ等を用い、天然海水を対照として塩素およびオゾン処理海水、ピチピチ(トーユー)添加海水(PP)、それらとともにゼオミック(シナネンニューセラ)袋(SP)による保鮮効果を細菌数(一般細菌数、大腸菌数、低温細菌数)、K値、およびIMP濃度、さらにパネルテストによって判定を行った。

クロダイを氷蔵した場合、15日迄の官能検査でPPが最高であり、5℃で貯蔵したものではK値およびIMPともSPおよびO3が良く、イワシ、サバではK値およびIMPともPPは対照より優れていた。カキでは氷蔵下で9日迄官能検愛で、殻付きでもPPは対照に勝り、K値からもPPは対照よりも良い結果が得られた。エビではPPがK値、IMPとも最高であり、一般細菌数、低温細菌数からみるとSPが最も優れていた。また官能検査での臭気からPPが最も良い結果を得た。
Abstract
In order to keep the quality and freshness of the fishery products, various treatments were studied on black sea bream (Acanthopagrus schlegeli) and shrimp (Trachypenaeus curvirostris) stored in ice and at 5°C, mackerel (Scomber japonicus) and sardine (Sardinqs melatzosticta) stored at 5°C, and oyster (Crassostrea gigas) in shucked and unshucked forms stored in ice and at 5°C. In general, among the samples packed by usual polyethylene bags, samples treated by 0.34000f modified amino preservating agent (called Pichi-Pichi, PP) have lower K-value and higher IMP content. The ability of PP to suppress the illcreasing rate of K-value (IRK) and to restrain decreasing rate of IMP (DRI) was slightly higher than saturated ozone treatment, higher than chlorinated treatment (0.04 ppm) and control. Samples packed by laminated-Ag-zeolite polyethylene bags (Zeomic) have lower bacterial counts, IRK and DRI than usual one.