広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター研究紀要 Issue 10
published_at 2012-03

通常の学校に在籍する聴覚障害児の学級適応 <原著>

Adaptations to Regular Classrooms for Children who are Deaf and Hard of Hearing Enrolled in Local Ordinary Schools <Original Articles>
Yasuda Haruka
Hamada Toyohiko
Oshika Aya
fulltext
581 KB
CSNERP_10_25.pdf
Abstract
東京都内の小学校に在籍し,難聴通級指導教室に通級している聴覚障害児の学級適応状況について,通級教員を対象に質問紙調査を行い,適応状況に影響を及ぼす要因について聴力と学力の観点から検討を行った。

調査の結果,良耳平均聴力レベル70dB以下の児童が75%を占め,難聴の程度が軽中等度の児童が多かったが,重度の児童も25%存在した。学級適応の指標とした「友人とのトラブル頻度」が高い児童について,明確な要因は見いだされなかったが,「授業中に発言や質問」が少ない児童については,学習内容の理解の困難が影響している可能性が示唆された。「今後の進路」の判断においては,音声コミュニケーションの活用程度と学習内容の理解度が学校生活への適応に大きく影響している様子がみられ,音声でのやり取りに負担が大きい場合や学習の遅れが著しい場合には,ろう学校の少人数集団で本人の理解に合わせやすい学習環境が検討されていた。また,語彙力の発達が遅れている児童については,学習に限らず様々な場面の困難に語彙の少なさが影響している可能性が示唆された。
Keywords
聴覚障害児
難聴通級指導教室
学級適応
通常の学校
質問紙調査