学部・附属学校共同研究紀要 37 号
2009-03-31 発行

生徒の非行化を阻止するために学校が独自にとりうる措置と, 家庭・関係機関・地域社会との連携(VI) : 卒業生アンケートの記述回答から探る学園生活の年代別変化

The School's Proper Actions and Cooperation with its Students' Families, the Related Agencies, and their Community in Order to Prevent its Students from Turning to Wrongdoings : the Descriptive Data of the Questionnaire Research to the Graduates of a Junior High School Affiliated with a University.
金丸 純二
木本 一成
全文
1.28 MB
AnnEducRes_37_417.pdf
Abstract
本年度は昨年度までの質問票調査の結果をさらに詳細に把握して, 生徒指導モデルの形成に充分な事実データを収集するために附属中学校卒業生に対する面接調査を試みている。平等な取扱いの志向などいくつかの特徴を発見しつつあるものの, まだ聴取データが量的・質的に集積していないため, 今回の報告では質問票の記述回答部分を紹介する。

総じて, 附属学園内にも一定の逸脱行動(容貌の乱れ, いじめ)は見受けられるが, 他校の方が規模も大きいので荒れの程度は大きかったようである。しかし, 1990年代後半の時期には附属学園でも荒れの程度が高まっており(学内喫煙, 破壊行動), 授業にもよくない影響が及んでいたようである。それが周囲の少年一般と同等なレベルであったのか, つまり当時流行していた非行化に包含されるものであったかのかどうかはさらに検証の必要があろう。

生活指導態勢の変化については, 一貫して厳格な教員が少数存在するものの, 教員組織全体としては転属もあるためか, 1990年代前半に変化(教員との見解不一致)があったような印象が残る。また, 団結や仲良しの指摘は小規模学校固有の特徴であろうが, 必ずしも一枚岩ではなかったようである。