本稿では、異文化間ソーシャル・スキルの訓練を行って行動レパートリーを獲得し、異文化環境下における対人関係形成の形成・維持・発展に役立て、それによって異文化適応を促進するための心理学的アプローチについて展望する。まず異文化適応についてのソーシャル・スキル欠損仮説の考え方を紹介し、国内外における異文化間ソーシャル・スキルと異文化滞在者の心理的困難との関わりを調べた研究を紹介する。そして日本における研究の展開に必要な要件を整理し、主に1990年以降に行われた、在日留学生を対象とした異文化間ソーシャル・スキルに関する介入研究の展開について整理する。