幼児期の喘息・喘鳴の有病率を明らかにし,生活環境との関連を検討することを目的に,1.6 歳児,3歳児健診を受診した母親を対象に自記式質問紙調査を行った.調査内容は,ATS-DLD 日本版・改訂版を修正した20項目,家族歴,栄養法,住環境などの12項目,属性5項目であった.有効回収数899名(92.8%).① A市の喘息の有病率は,1.6歳児8.4%(95%信頼区間confidence interval(CI),5.9~10.8%),3歳児13.7%(95% CI,10.4~17.1%)であった.② 3歳児では喘息など診断あり群が,診断なし群より家族歴があり(p<0.05),55.3%が他のアレルギー疾患を合併していた.③ 1.6歳児は,母親の喫煙(p<0.05),祖母の喫煙(p<0.01)と有病とに関連を認めたが,部屋の絨毯使用や,ペット飼育との関連は認めなかった.これらから,家族は,ダニ対策は認識していても,喫煙が乳幼児に及ぼす影響を理解していないと考えた.今後,受動喫煙の広報や禁煙指導などを強化することで,喘息や喘鳴の有病率を低下させる可能性があると考える.