広島大学大学院文学研究科論集. 特輯号 73 巻
2013-12 発行

《文選》底本及其周邊文學之基礎文獻研究

全文
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Abstract
本稿は、平成24年度科学研究費若手研究B「日本現存の旧鈔本『文選』に関する基礎的な研究(課題番号:24720166)」によって行われた共同研究の成果の一部である。「『文選』及び『白氏文集』の諸文献に関する基礎的な研究」と「秦漢文学思想に関する研究」との上、下二篇に分かれ、合わせて五つの論文を収録した。    第一章は、劉躍進氏(中国社会科学院文学研究所)の「『文選』旧注の整理について」である。氏は、六朝文学研究に限らず、中国古典文学のあらゆる分野において、『文選』を経典として精読する必要があると指摘し、現在編纂中の『文選旧注輯考』の編纂体裁及び文字校勘の原則を紹介した。また、現存する各種の『文選』旧注(李善輯注・李善獨注・五臣注・集注・佚名古注)を博捜して整理し、全ての文選注を一冊のテキストに纏める必要性を提示した。    第二、三章は、筆者によるものである。第二章の「『集注文選』巻頭所附の李善『上文選注表』佚注について」では、散佚した『集注文選』の李善『上文選注表』佚文を整理した。第三章「中国古典文献の中の『層累校訂』現象について」では、主に李商隠の「刑部尚書致仕贈尚書右僕射太原白公墓碑銘」及び新旧両唐書「白居易伝」を取り上げ、それらのテキストの変遷に関して考察を加えた。    第四章は、呉光興氏(中国社会科学院文学研究所)の「『漢書・藝文志』の「詩賦略」の分類及び小序の有無に関する考察」である。氏は、『漢書・藝文志』の「詩賦略」を取り上げ、宋代以前の書物の編纂体裁について新たな見解を提出した。    第五章は、王秀臣氏(中国社会科学院文学研究所)の「『禮儀』と『興象』―『比』と『興』の区別について―」である。氏は、先秦典籍における「興」と「象」との使用例を整理し、儀礼という新しい視点から、周王朝の文学理念及び後世に対する影響について考察を加えた。
内容記述
本稿は、平成24年度科学研究費若手研究B「日本現存の旧鈔本『文選』に関する基礎的な研究(課題番号:24720166)」によって行われた共同研究の成果の一部である。