大学生女子30人に系列パターンの追従課題を与えて, 構造パラメータとしての系列位置の変化のないパターンを追従するフィードバック制御過程とそれらのあるパターンを追従する適応制御過程を1系列として1試行として30試行追従させた。系列パターンの前半, 後半, 逆転という3つの変更パターンを追従する3群について, 4つのパフォーマンス測度(正反応, 見越反応, 誤反応, 無反応)から各群の適応過程を比較検討した。その結果, 3群ともフィードバック制御過程の後期段階で, 正反応を減少させて見越反応を増大させるという反応測度間の相補性を示した。そして, 構造パラメータの変化がある適応制御過程の初期段階では, 3群の見越反応の減少は著しかった。さらに, これまでの研究で明らかにされた知見, すなわち, 適応制御過程の後期段階において, 構造パラメータの変化部分での見越反応の増大という現象は明確な形では見出されなかった。このことは, 適応制御過程での「ゆらぎ」はどの程度のものが最も系を秩序立てることに貢献するかという問いに答えなければならないことを意味している。