広島大学水畜産学部紀要 15 巻 1 号
1976-07-20 発行

Vibrio anguillarum isolated from the European Eel (Anguilla anguilla) cultured in Japan

養殖ヨーロッパウナギ(Anguilla anguilla)から分離されたVibrio anguillarum
Muroga Kiyokuni
Jo Yasuhiko
Nishibuchi Mitsuaki
全文
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JFacFishAnim_15_29.pdf
Abstract
Vibrio anguillarumはヨーロッパにおいて海水中および汽水中のウナギに鰭赤病を起こすものとして古くから知られている。1969年以来,ニホンウナギ(Anguilla japonica)の種苗不足を補うためヨーロッパウナギ(A. anguilla)のシラスが大量に輸入され,日本各地で養殖されているが,我が国においてはヨーロッパウナギでのV. anguillarum感染症の発生は現在まで報告されていない。

1975年4月末,徳島県下のやや塩分を含む養殖池において,前年から赤点病(Pseudomonas anguilliseptica感染症)が発生していた魚群について検査したところ,P. anguillisepticaとともにV. anguillarumが分離され,ヨーロッパウナギにおける本菌感染症が我が国でも確認された。

しかしながら,その感染率は比較的低く,また本病による大量斃死も認められなかった。これはヨーロッパウナギがニホンウナギと同様,V. anguillarumに対してある程度抵抗性を有しているためと考えられた。