広島大学マネジメント研究 7 号
2007-03-22 発行

食品安全管理会計 : FSMS導入期におけるSCFの測定と分類 <論文>

Food Safety Management Accounting
佐々木 彰
全文
1.3 MB
HUMR_7_19.pdf
Abstract
食品安全管理会計(FSMA)の意義は,食品安全マネジメントシステム(FSMS)を導入して食品の安全・安心を確保する活動と,企業の経済性活動を同時に達成するための連結環であることにある。また,FSMAの目的は,内部管理者の多様な情報ニーズや経営管理の意思決定を支援する会計情報を提供することにある.そのためには,食品安全コスト(SCF)を測定・分類・把握して,原価計算書や分類表のかたちで可視化することが必要である。しかしながら,この種類のコストの測定と分類をおこなうには多くの困難性があることから,現在のところSCFに関する先行研究はないと言えよう。本稿は,SCF測定の困難性を克服するために,FSMSを対象範囲とすることで原価対象を明確化し,ABCの手法に準拠して管理活動基準にコストプールする原価計算システムを設計した。また,煩雑であった多重的階層の分類を可能にするために,基礎計算の理論とデータベースの概念を活用したものである。本稿のオリジナリティーは,SCFの概念の新規性と,実践的有用性の観点から伝統的原価計算,ABCおよび基礎計算を融合した測定・分類技法の開発をおこなったところにある。
著者キーワード
HACCP
ISO22000
活動基準原価計算(ABC)
品質コスト
環境コスト
基礎計算
PAF法