広島大学マネジメント研究 4 号
2004-03-19 発行

ストレス研究の歴史的概観 : 労働ストレス研究の新しい視点を目指して <研究ノート>

A historical review of stress research : Toward a new perspective of occupational stress research
江口 圭一
戸梶 亜紀彦
全文
1.45 MB
KJ00004257047.pdf
Abstract
本論は, 労働ストレス研究で扱うべき2つの新たな課題を示す。第1に, 労働ストレス研究が, ストレス・マネジメントだけでなく, ヒューマン・リソース・マネジメント, リスク・マネジメントの視点から総合的に労働ストレス問題を取り扱わなければならないということである。これら3つの視点を統合することの必要性を, 1)労働者の健康問題, 2)企業の経済的負担, 3)企業の安全配慮義務, 4), 顧客満足, の4点から説明した。第2に, 労働ストレス研究において, これまであまり扱われていない労働価値観を取り上げる必要があるということである。労働価値観はストレッサーに対する認知や対処行動の前提となる個人要因であり, ストレッサー-ストレイン関係に影響を及ぼす媒介要因として, 大きな意味を持つと考えられる。今後, これらの2つの課題が, 労働ストレス研究における新たな知見をもたらすだけでなく, 労働ストレス問題への新たな介入方策を提示できると考える。
著者キーワード
労働ストレス
ストレス研究
労働価値観
媒介要因
occupational stress
stress research
work values
mediation factors