カナダは対米貿易偏重を是正するために,当時第2位の取引先国である日本との貿易促進を意図して進めてきたが,貿易取引の多様化が進まないだけでなく,対日貿易赤字に加え,カナダが発展途上国,日本が先進国という貿易構造に陥った。そこで,成長著しい中国に目を転じて,中国との貿易の展開を図った。この結果,カナダは対中貿易のさらなる大幅な赤字に加え,カナダにおける日用品からハイテク製品に至る多くの市場において,中国製品によって席巻される事態に陥っている。この意味において,カナダの思惑はことごとく裏切られる状況に至っている。