日本語版Can-do Scaleが,どれくらい正確に外国人日本語学習者の日本語能力を測定しうるかを検討した。その結果,「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能からなる20項目の質問すべてについて,項目間に有意な相関が得られた。また,クロンバックのアルファ係数も極めて高い数値であった。しかし,因子分析の結果,「聞く」「話す」「書く」の群と「読む」の群の2つの因子にしか分けられないことがわかった。また、日本語能力テストの得点と日本語版Can-do Scaleで測定した4技能の間には、有意な相関はみられなかった。さらに,4技能から日本語能力を予測する重回帰分析を行ったが、どの技能も日本語能力を予測する有意な変数ではなかった。つまり,自己評価型の質問紙は,日本語の能力を予測できないという結果であった。これは個人の社会・文化的背景,言語不安や性格要因などから,自己の言語能力を過大あるいは過小に自己評価してしまうためであると考えられよう。