社交不安障害は,人から注目を浴びるかもしれない社会的状況で顕著で持続的な恐怖が存在するのが特徴である。大学生などの若年に発症する者も多く,学業上の困難や対人関係での問題を抱え,メンタルヘルス相談に訪れる学生も多い。社交不安障害では,不登校や引きこもりとなり,社会生活への適応が困難となる事例もあるため,支援のあり方を検討することが重要である。われわれは,本学の教養科目を受講した大学生を対象に,質問紙による社交不安障害に関する調査を実施した。社交場面での強い不安や緊張を自覚している学生は多く存在し,治療の必要性を感じている学生も認めた。社交不安障害の多くの症例で,二次的な気分障害が報告されており,抑うつ症状の悪化は社交不安障害の増悪要因であるため,早期発見や適切な治療導入が必要である。保健管理センターでは,学生に対して社交不安障害に関する知識や情報の提供,早期の支援が必要であると思われた。