地域経済研究 6 号
1995-03-31 発行

都市の順位・規模の法則について : 1990年の日本の場合 <論説>

On the Rank-Size Rule of Cities : A Case of Japan in 1990
吉村 弘
全文
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Abstract
本稿は、都市の「順位・規模の法則」、および、その一般化である「順位の規模弾力性の一定性」に関して、規模の指標として人口を採用して、1990年の日本について検証しようとするものである。その主要な結果は次のとおりである。①順位・規模の法則の成否、および、順位の規模弾力性の値はともに、都市の定義(単位)と対象とする都市数とに大きく依存する。②都市の定義として行政単位としての「市町村」あるいは「市」、および、流通経済単位としての「エリア」の3種類のいずれを採用しても、「対象とする都市数を規模の上位から順次増加させるにつれて順位の規模弾力性の値は増加し、一定の都市数で最高値に達し、さらに都市数を増加させると弾力性の値は減少する」という、同じパターンを示す。③「順位・規模の法則」と「順位の規模弾力性の一定性」の成立の判断基準として厳しい基準(弾力性の幅0.2)と緩やかな基準(弾力性の幅0.5)を設定するとき、厳しい基準のもとでは2つの法則性は、上記3種の都市の定義(単位)如何に関わらず、共に成立しない。④緩やかな基準のもとでは、エリアについては両法則性が共に成立し、市については、弾力性の一定性は成立するが、順位・規模の法則は成立しない、また、市町村については、両法則性とも成立しない。⑤したがって、両法則性は、都市の定義として行政単位よりも経済的単位を採用する方が成立する傾向が強い。