中国は経済成長とともに,サービス業のウェイトの増加など産業構造の高度化が進行している。今後の持続的経済成長を実現するためには,サービス業の生産性を向上させることが鍵である。本研究は,中国のサービス業に注目し,その労働生産性の地域間格差とサービス経済化によるマクロレベルの労働生産性成長への影響について考察した。その結果,中国の労働生産性の地域間格差は全体的に縮小傾向にあるが,先進地域では縮小したのに対して後進地域では拡大したこと,労働生産性の成長を要因分析した結果,全国およびほとんどの省では内部効果が大きく,構造変化効果が非常に小さいこと,構造変化効果が負であることから,サービス業のシェア拡大は全産業労働生産性成長率の低下を引き起こしていること,すなわち,中国では「ボーモル病」が存在していることを明らかにした。