広島県東広島市に所在する広島大学東広島キャンパスの鳥類相の把握を目的として,2010-2011 年にラインセンサス法を用いた野外調査を実施した。本キャンパスは,3 つのため池が存在し,それらが小さな河川で繋がり周辺には緑地帯が広がっていた。周年にわたる毎月の調査により11 目27 科55 種1628 羽の野鳥を確認した。その渡り区分は,留鳥58%,冬鳥29%,夏鳥9%,旅鳥4%であった。浅い水辺を利用する鳥類が少ない一方,カモ類や森林性の鳥類等が多く確認されたことから,本キャンパスのため池や森林,校舎が東西の山林をつなぐコリドー(緑の回廊)や渡りの中継地等の重要な役割を果たしていると考えられた。