本論文では,異文化間の感受性に関する著者が実施した研究の重要な側面を説明しながら,著者自身の経験を要約し,研究を裏付ける重要な概念を説明する。さらに,その研究から得られた総合的な調査結果について論じる。本研究の主な目的は,異文化間の感受性と,それが日本の異なる文化的背景を持つ複数の労働者が働く職場で観察される民族中心的態度に与える影響を考察することであった。多様なコミュニケーターが,異なる感受性レベルを採用する方法と,それが異なる文化的,言語的背景を持つ対話者間の態度にどのように影響するかを調査した。調査結果は,異文化間の感受性,共感,オープンマインディッドネス(偏見のない物の見方・考え方),非判断的態度などの感情的要因が,職場において,いかに異なる文化的背景を持つコミュニケーター間の民族中心的態度と力関係の非対称性を減らすのに役立つ可能性があるかを示唆している。