広島外国語教育研究 21号
2018-03-01 発行

Teaching and Evaluating a Medical English Flipped Learning Course

医学英語講座における反転授業の実践と評価
Enokida, Kazumichi 外国語教育研究センター 広大研究者総覧
Fraser, Simon 外国語教育研究センター 広大研究者総覧
Davies, Walter 外国語教育研究センター 広大研究者総覧
Tatsukawa, Keiso 外国語教育研究センター 広大研究者総覧
本文ファイル
抄録
本稿では,広島大学3年生対象の医学英語講座における反転授業の導入について,その過程を記すとともに,同授業に対する学生と教員の評価について考察する。具体的には,反転授業が導入された背景,その導入および実施の過程,同講座に対する学生の反応,および教員の受け止め方,以上の4点について報告する。
反転授業が導入された最大の理由は,対面授業の効率性を高め,読み物や語彙といった受容技能に関わる教材について,学生が自学自習を行えるようにするためである。前年まで4名の教員が4日間,3年生に授業を行っていたが,反転授業により,大学の学習支援システム(LMS)を用いた事前学習が導入され,受容技能関連の教材がオンライン化された。その中には,読み物や音声教材に加えて,組み合わせ問題や多肢選択問題などのタスクが含まれている。この結果,対面授業は2日に減り,3日目は試験にあてられた。その後対面授業が1日増え,そこでは反転授業を伴わない別の内容が取り扱われた。
講座を受講した学生121名のうち,81%にあたる98名が同講座に関するアンケートに回答した。この結果,ほぼ全ての学生が,同講座が役に立ったと考えており,英語学習への意欲も高いことが判明した。講座終了時に実施された語彙テストのデータを前年のデータと比較したところ,有意差が見られなかったことから,テストで扱われたタスクに関しては,オンライン学習が教室での学習と同程度に有効であることが示されたと言える。要約課題の評価は前年よりも高い結果となった。これは反転授業の導入により,授業外での準備および課題の作成にあてる時間が増えたためと考えられる。教員の受け止め方に関しては,いくつか重要な点が示された。まず,反転授業を伴う講座の企画・立案は複雑な作業を要したが,それを可能としたのは,医学部による強力な支援であった。次に,反転授業により,対面授業の部分が短期集中型になった反面,授業の実施にかかる時間的負担が軽減された。また,評価のための時間を授業時間と完全に切り離したことは有益だった。さらに,LMSの使用は,学生の進捗状況を把握し,彼らからのフィードバックを得ることを容易にした。
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