広島外国語教育研究 19号
2016-03-01 発行

Which Are More Effective in English Conversation Classrooms : Textbooks or Podcasts?

教科書とポッドキャスト : コミュニケーション教材としての効果の比較
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抄録
本稿では,日本の大学1年生102名の英語コミュニケーション能力を,1セメスターにわたり詳細に分析する,総合的な縦断研究を行った。2名の教員が,それぞれ2クラスの授業において,一方は教科書,他方はポッドキャストを教材として用いた。各クラスにおいては英語力や専攻などの変数を統制した。セメスターの最初,中間,および最後に,コミュニケーション能力テストを実施した。特筆すべき点として,本稿で用いられている実験手法は,Gilmore (2011) の重要な研究を一部踏襲している。同研究では,ウェブを中心とする「オーセンティックな教材」を用いる方が教科書に比べて効果が高いとされた。それゆえ,本稿の目的は,Gilmore の研究結果を確認し,教科書とポッドキャストを用いた教材のどちらが,学生の口頭能力の向上に効果が高いかを探ることにある。

本研究の結果,どちらの教材を用いても,学生は同様の向上を示した。例えば,リスニングテストでは全4クラスにおいて,平均約10%の,統計的に有意なスコアの上昇が見られた (p < .05)。また,語彙・文法のスコアは,概ねどのクラスも特に向上は見られなかった。録音によるスピーキングテストでは,全クラスで,流暢さ(3分間に発話された語数),/l/ の発音の正確さの点で有意な上昇が見られた。しかし,冠詞や前置詞といったその他の難易度の高い文法項目においては,どのクラスにおいても,概して向上は見られなかった。本研究の結果は,ウェブを教材に用いる方が教科書よりも良いとする Gilmore の主張に重大な疑問を呈するものである。
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