地域経済研究 9号
1998-03-31 発行

都道府県の人口規模と人口移動 <論説>

Population Size and Migration in Prefectures
吉村 弘
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抄録
本稿は、都道府県間の人口移動の要因を地域の人口規模との関連でマクロ的に考察しようとするものである。主要な帰結は次の通りである。

① 都道府県間人口移動を考察する際、人口規模の観点を導入することは極めて有効である。これによって、人口移動のマクロ的傾向性を極めて明確にとらえることが出来る。

② 「標準移動率」は、地域の人口の性別年齢別人口構成を反映する人口移動率であり、地域の人口移動の特性を考察する際に極めて有用である。

③ 転入率は、人口規模、所得格差、「標準移動率」と極めて密接な(有意水準0.01で有意な)正の相関があり、また、東京都を除くサンプルについては、事業所成長率とも極めて密接な正の関係が認められる。

④ 転出率は、人口規模および所得格差と密接な関係が認められるが、事業所成長率や「標準移動率」とは有意水準0.05で有意な関係は認められない。とくに、東京都を除くサンプルについては、転出率は、人口規模、所得格差、事業所成長率、「標準移動率」のいずれとも、有意水準0.05で有意な相関を認められない。

⑤ 人口規模、所得格差、「標準移動率」の間には密接な相関があるので、これらを説明変数として転出入率を説明しようとする回帰式においては、その偏回帰係数に注意する(それら変数間の偏相関関係に注意する〉必要がある。
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