いわゆる「域際収支」は、(貯蓄-投資)+(租税-政府支出)=(移出-移入)とされる。しかし、これは財貨・サービスの取引のみをみており、経常県外収支+資本移転等収支=金融収支という本来の域際収支ではない。ここで経常県外収支=①財貨・サービスの移出入(純)+②要素所得(純)+③その他の経常移転(純)である。2013年度の場合、47都道府県の合計は①が18. 1兆円であるのに対し、②は16. 8兆円、③は33. 1兆円に達している。資本移転等収支と金融収支についてはすべての都道府県のデータを把握することができないが、少なくとも経常県外収支には配慮する必要がある。これは、地域経済を付加価値額だけでなく可処分所得からとらえることでもある。
47都道府県間の特徴を際立たせるため、人口1 人あたり県民所得の順位は低いが、家計部門の人口1人あたり県民可処分所得の順位は高い上昇群14道県と、人口1 人あたり県民所得の順位は高いが、家計部門の人口1 人あたり県民可処分所得の順位は低い下降群15府県を取り出して比較した。その結果、人口1 人あたり県内総生産、県民所得、租税収入などについては、圧倒的に下降群が優勢であるものの、その他の経常移転(純)、労働分配率、受益・負担差額などについては、上昇群の数値が有意に高いことなどが明らかになった。