知的財産権の保護強化が国際取引に与える影響に関する研究は数多い。知的財産権の保護強化が貿易量に与える効果、直接投資あるいは関連会社の設立に与える効果、ライセンシングに与える効果などが主な分析対象となっている。複数の対象に与える影響が分析されている研究もあるが、貿易・関連会社設立・ライセンシングの3種類への影響を直接比較することはできない。特に、ライセンシングへの効果を測る指標は他の2つと大きく性格が異なっているからである。
本稿では、アメリカ合衆国の比較可能なデータを用いて、知的財産権保護強化が関連会社設立とライセンシングを比較検討する企業の行動にどのように影響しているかを検証する。ここで、焦点を当てるのは、直接投資によってもライセンシングによっても生じうる特許等使用料取引である。