本稿においてわれわれは島根県を例に、地域における情報化の経済効果について分析を行った。分析に関し、われわれは独自に島根県のハードウェアを中心とした情報化投資および情報通信資本ストックに関する統計を構築した。その結果、島根県は全国と比較して旺盛な情報化投資が行われストックの蓄積も進展していることが明らかとなったが、投資構成におけるコンピュータ偏重という点も確認された。経済効果に関しては、島根県では全国と比較して労働生産性成長に対する寄与は大きく、この点で情報化推進は評価できるものと理解できる。しかしながら、情報通信資本の限界生産性および最適資本蓄積水準の観点から分析すると2000年代以降、島根県における情報通信資本の蓄積は過剰となっており、経済振興に関して投入資本の選択および利活用が課題となりつつあることが把握できた。