地域経済研究 21号
2010-03 発行

企業による森林整備活動の新たな動きと今後の促進課題 <研究ノート>

New Directions of Forest Maintenance Activities and Issues on the Promotion of Companies' Participation
花岡 千草
阿部 宏史
本文ファイル
抄録
森林は、直接的な経済的機能である木材生産以外に、水源涵養、災害防止、レクリエーションの場の提供、動植物保全等の様々な機能を有している。しかし最近では、輸入材増加と木材価格低迷による林業経営の不振や中山間地域の過疎化・高齢化により、森林の維持管理が危機的状況に直面しており、多様な主体の参加による森林整備・保全活動の展開が急務となっている。一方、企業による森林整備活動への参加は、これまで社会貢献、山村交流、社員レクリエーション等のCSR関連活動が中心であったが、最近では地球温暖化防止対策への貢献や排出量取引市場における国内クレジット獲得等に多様な広がりを見せており、新たな経済社会情勢をふまえた企業参加の仕組みづくりが求められている。

本研究では、企業による森林環境保全の新たな動きを探るため、排出量取引の国内統合市場の試行的実施に参加し、温室効果ガス排出削減に積極的な企業を対象とするアンケート調査を実施し、森林整備活動への参加実態と今後の活動促進に向けた課題を分析した。

調査結果より、規模の大きい企業ほど森林整備活動に積極的に参加していること、現在の森林整備活動への参加はCSRや社員の環境意識向上が主目的であり、CO2吸収源や国内クレジット獲得といった地球温暖化対策に関連する目的はそれ程重視されていないことなどが明らかになった。また、今後の参加促進課題としては、森林整備活動に対して適切な評価が行われ、結果が対外的に公表される仕組みが重要であることが示された。
キーワード
森林整備活動
企業活動
アンケート調査
地球温暖化対策
排出量取引
Forest maintenance activity
Corporate activity
Questionnaire survey
Global warming countermeasures
Emissions trading
SelfDOI