地域経済研究 18号
2007-03-30 発行

近代中国華北地域の「在来的経済発展」に関する考察 : 在来織物業を中心に <論説>

A Review on "Indigenous Economic Development" in Hua Bei Region : Focusing on the indigenous weaving industry
張 楓
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抄録
近代中国の工業化と経済発展が着実に進んでいたことについては、近年、各国の中国経済史研究者の間でほぼ共通の認識が形成されてきている。また、そのなかで、近代中国経済の発展過程における手工業部門の比重と役割の大きさから、手工業と近代工業の分業・協調の側面を重視して、工業化過程を支える手工業の役割を積極的に評価する研究が急速に進められるようになっている。しかしながら、こうしたなかで中国手工業がどのような展開論理を有していたのかに関する考察が、近代中国における経済発展の条件や要因、地域的特質をより鮮明にとらえうることに意義があるにもかかわらず、いまだに不十分のまま残されている。

こうした問題意識から、本稿では、近代中国の農村に広範に存在した在来織物業(土布業)をとりあげて、日本経済史研究で提起された「在来的経済発展」論をベースに、華北地域土布業の展開について考察を行った。分析の結果、その発展過程には、華中地域のマニュファクチュアを中心とする生産形態とは異なる、近代日本在来織物業と同様に問屋制家内工業に主に特徴づけられる「在来的経済発展」とも称される発展論理が包含されていることが明らかとなったのである。
キーワード
在来産業
在来的経済発展
問屋制家内工業
indigenous industry
indigenous economic development
putting out system functioning
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