地域経済研究 17号
2006-03-31 発行

個人主導型職業能力開発の促進要因に関する一考察 : 登録型派遣労働者を事例として <論説>

Factors that Promote Independent Development of Vocational Capabilities : Focusing on the Case of Temporary Worker
中川 洋子
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抄録
本論の目的は、個人主導型職業能力開発の促進要因を、社会的認知理論の立場から個人の認知要因に着目して探索することである。具体的には、個人主導型職業能力開発の経験を持つ登録型派遣労働者(インストラクター)22名を対象に、ライフヒストリー法によるインタビュー調査を行い、調査協力者がいかにして必要なスキルを獲得したかというプロセスに着目し、促進要因の分析・考察を行う。さらに、導き出された知見をもとに、職業能力開発支援策への提言を行う。

導き出された知見は、以下の通りである。

(1)認知要因である自己効力感(特定の課題を成功裡に実行できるという判断)が、職業能力開発の促進要因となっていた。

(2)自己効力感は、Bandura(1986)にて提示されている4種類の学習経験(遂行行動の達成、代理的体験、言語的説得、情緒的な喚起)を通じて形成されていた。

(3)非正規インストラクター間には、同一職としてのゆるやかなネットワークがあり、ここでの情報交換も、職業能力開発の促進要因となっていた。

(4)1995年前後の企業情報化という社会的要因も、個人の認知要因と相互作用しながら職業能力開発の促進要因となっていた。
キーワード
個人主導型職業能力開発
登録型派遣労働者
自己効力感
independent development of vocational capabilities
temporary worker
self-efficacy
SelfDOI