本研究は、若年層の失業を理解する上で、各都道府県の産業構造との関係に着目し、考察を行なったものである。また産業別の臨時雇の割合にも着目した。
産業構造や年代別の失業率を都道府県別に正確に把握するために2000年の国勢調査に基づいて、それぞれの値を算出し、分析を行なった。
その結果分かったことは以下の通りである。
1) 東京都、神奈川県では失業者の中で若年者の占める割合は比較的少ないのに対し、茨城県や栃木県、福島県では全年代の失業率では全国平均を下回っているのに、若年層だけみると全国平均を上回っていた。
2) 製造業が多い地域において失業が少ないという傾向、またサービス業、卸売・小売・飲食店業が多い地域において失業が多いという傾向がみられた。
3) 臨時雇用と各年代の失業は常に正の相関を持っていたが、その傾向は特に若年層において顕著にみられた。
本研究では、最後に政策面からの検討として、平成15年から実施されている省庁横断的な政策である「若者自立・挑戦プラン」について概要をまとめ、本研究結果から予想できる将来への示唆を示した。