「森林の有する公益的機能を適正に評価して、疲弊を続ける中山間地域に還元し、その持続的な維持につなげられないか」という問題意識から、中山間地域に住む人々の営みである、森林資源管理がもたらす外部経済効果に着目して、「森林の公益的機能の評価のあり方」と「直接支払いの制度化」について検討し、次のとおり考察した。
第一に、森林の有する公益的機能を、「自然の生態系がもたらす外部経済効果」と「森林資源管理がもたらす外部経済効果」とに峻別して評価してはどうか、ということである。
第二に、森林の有する公益的機能のうち、当面、二酸化炭素吸収機能と化石燃料代替機能に着目して「直接支払い制度」を設計してはどうか、ということである。その理由は、①森林資源管理がもたらす外部経済効果を定量的に評価できること、②既に排出権取引が具体化し、受益者の特定と合意が得やすいこと、③得られる財源が中山間地域の振興に有効な規模であること--と考えられるからである。