地域経済研究 11号
2000-03-31 発行

地域経済と雇用 : 失業率の地域間格差収斂仮説の検証 <論説>

Regional Economy and Employment : Verification of 'Convergence Hypothesis' on Regional Unemployment Disparities
香川 敏幸
伊藤 裕一
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抄録
欧州において、失業率の地域間格差は最大の関心事である。この失業率が収斂化していく可能性と、地域政策がそのために果たす役割ということに関して、本稿は、具体的にイギリスに焦点を当てつつ、日本との比較を通じて分析をするものである。その手法としてはビバレッジカーブ(UV曲線)を中心に、賃金、産業構造などからの分析を加える。

その実証分析の結果は、以下の点である。

1) イギリス、特にグレートブリテン島内の地域格差は、労働市場においては構造的に異なるものではなく、程度の差であるといえる。日本においては地域格差の程度はより大きい。さらにイギリスにおける地域格差は縮小してきている。

この1)はイギリスの労働市場が調整機能を働かせるのに十分な程度に伸縮的になった結果であるということから、地域政策に関して以下の方向性を与えることができる。

2) EU、イギリス政府による地域政策は、特に失業率の高い地域を対象としているが、上記のように地域格差が構造的なものでなければ、直接労働市場に働きかける必要はない。
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