地域経済研究 10号
1999-03-31 発行

「マレーシアの金融危機」 <論説>

'Financial crisis in Malaysia'
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抄録
金融危機をもたらす要因は、各国の置かれた環境や国内状況によって相違する。本稿では、マレーシアを例に取り上げて金融危機に関する考え方を整理することとした。

金融危機の要因としては、まず、為替政策の不適切さと短期国際資本移動の問題があげられる。マレーシアにおいても、事実上のドル・ペッグ制と過度な短期資本の流入が金融危機の要因になったことを確認することができる。

1997年以降も金融危機は進行している。問題は国内銀行部門の脆弱性である。商業銀行は近年急速に預金の満期短期化を進め、満期変換機能を強く発揮するようになっている。満期変換は、流動性リスクを高めるため、これが資金の流出加速と通貨危機を引き起こす危険性は高い。さらに、商業銀行の不良債権比率も急激に上昇している。今日、マレーシアの銀行部門は、流動性リスクと不良債権という二重の脆弱性に直面しており、金融危機の深刻化は着実に迫ってきているのである。
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