プロピレア 15号
2003-12-31 発行

«Ουράνιες δυνάμεις» και «Φώς» στα Τρία Τελευταία Βιβλία της Εκκλησιαστικής Ιστορίας τον Ευσεβίου Καισαρείας <ARTICLES>

エウセビオスの『教会史』における《天の諸力》と《光》の意味 <論文>
Ishimoto, Tohsei
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抄録
カイサリアのエウセビオスが著した『教会史』は、歴史書でありながら他のそれらと比較すると、歴史が繰り広げられる舞台-つまり地理・自然環境-に関する叙述があまりに抽象的である。換言すれば、彼の『教会史』は非常にスピリチュアルで、歴史に影響する地理的要素の記述が特に少ない。

本論文では同『教会史』の最終3巻となる第8・9・10巻を研究の対象範囲とし、その中で著者が使用している《天体》《気象》に関する環境要素(術語)、そして《光》についての持つ意味を全用例にあたって調べてみた。また《光》については最終3巻のみならず、第1~10巻の全体にわたって用例のすべてにあたった。その結論の一部を挙げると以下のとおりである。

1)地上より離れている天体および現象ほど、高度かつ良好な自然環境要素として描かれている。

2)エウセビオスは光を発する、あるいは光を明るく反射する自然環境要素には、神的・宗教的意味を色濃く包含させて使用する頻度が大。

3)《雨》《驟雨》など、人間の生命に不可欠の《水》に関係する自然要素については、キリスト者に善い影響を与える自然環境要素として描写されることが多い。

4)古代ギリシアにおいては《火》と《光》は密接な因果関係におかれたが、エウセビオスは前者を「キリスト教徒を襲う凶器」、後者については彼等を加護する「最善最高の自然環境要素」と位置付けた。

5)《光》とは逆に、それを遮る《雲》《霧》また《闇》等の術語は、神に反する者の譬えとされている。

6)《突風》《嵐》《風雨》については善き意味に使用されることは皆無で、むしろ「崩壊」を意味する。

7)大気・宇宙に関するσύμπαν, ουρανός, κόσμος等の術語を極力聖化しようとする著者の意識が顕著に見られる。
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