広島大学医学雑誌 53巻 2-4号
2005-08-28 発行

進行性核上性麻痺における神経原線維変化および coiled body の出現意義 : 神経原線維変化および coiled body の ubiquitin 化に関する検討 <原著>

The Significance of Appearance of Neurofibrillary Tangles and Coiled Bodies in Progressive Supranuclear Palsy : Study about Ubiquitination of Neurofibrillary Tangles and Coiled Bodies in Progressive Supranuclear Palsy
金 成花
本文ファイル
抄録
進行性核上性麻痔(progressivesupranuclear palsy: PSP)は変性病理所見として黒質,淡蒼球,視床,小脳歯状核,脳幹被蓋における神経細胞脱落,反応性gliosisを特徴とする進行性の変性疾患である。細胞内蛋白tauが異常リン酸化され,神経細胞内で神経原線維変化(neurofibrillary tangle: NFT)を,oligodendroglia内でcoiledbody (CB)を形成することが報告された。一方,ubiquitin (Ub)蛋白質は神経変性疾患においてATP依存性に変性蛋白を分解する重要な役割を果たしている。PSPにおいてNFT,CBが病変の形成にどのように関わっているかを明らかにするために,PSP三剖検脳を用いてNFT並びにCBを4つのstageに分類し,各stageの出現量を計測した後,PSPの変性病理所見と比較検討した。また,全NFT,CBに対するUb陽性NFT,CBの出現量(Ub陽性率)を算定した。その結果,NFTは神経細胞脱落と反応性gliosisと関係なく出現しているが,CBは神経細胞脱落と関連して出現が多いことが解った。神経細胞は脱落しているものの,細胞死を意味するstageN のNFT,CBは少なく3症例平均Ub陽性率もそれぞれ2.1%,2.7%と極めて低いことがわかった。以上よりPSPにおいてNFT,CBの形成は神経細胞脱落と反応性gliosisの中心的役割を担っていないと考えられた。
内容記述
本研究の一部は科学研究費補助金,基盤研究(C) No.14570600の補助により行った。
キーワード
Progressive supranuclear palsy
Neurofibrillary tangles
Coiled bodies
Stage
Ubiquitin protein
権利情報
Copyright (c) 2005 広島大学医学出版会