広島大学保健学ジャーナル 6巻 1号
2006-12-28 発行

家庭における重度失語症者と家族のコミュニケーションに見られる困難とその解決について

Problems in communication and their solutions between severe aphasics and their wives at home
沖田 啓子
鎌倉 矩子
村上 恒二
本文ファイル
抄録
本研究の目的は,家庭での重度失語症者と妻のコミュニケーションでどのような困難が生じ,どのように解決されるかを明らかにすることである.重度失語症者3名とその妻の昼食時の会話をビデオに記録し,すべて文章化した.その中から15分間を分析対象とし,話題の変化で区切り,その区分ごとにコミュニケーション困難の有無と原因,困難解決の有無と解決理由を調べた.その結果,3組の対象は,喚語困難,錯語,聴覚的理解障害等により,全話題の半分またはそれ以上にコミュニケーション困難を生じていたが,その内の約7割は解決されていた.解決行動には「言語的補完」「内容の明確化」「相手への行動の促し」「自己の身体の使用」「道具の使用」「共有情報の使用」等があり,どの行動を使用するかは対象の組,または患者・妻のいずれであるかにより異なっていた.全ての組で1話題をめぐる発話数が,困難の有無にかかわらず健常者よりも多くなっていた.
キーワード
コミュニケーション
失語症
質的分析
communication
aphasia
qualitative analysis
SelfDOI