虹鱒卵の卵黄形成後期の未成熟卵の内容物の分析を行った結果,ほとんどが蛋白質であることを明らかにした.蛋白質の主なる成分は電気泳動的に三つあり,それぞれは84.0%. 11. 6%, 4.4% の割で存在する.
主成分の蛋白質のうち84.0% を占める成分は窒素含量11. 9%, リン含量0.5%,脂質含量22.8%および少量の炭水化物を含むリポ蛋白質である.脂質のうちの50% はりン脂質である.この成分は鶏卵のリポピテリンと同様の蛋白質と考えるが,カロチノイドを含まない点でそれとは異っている. 11. 6%を占める蛋白質は窒素含量12.7% , リン含量0.1% 以下で, リン含量の少ないのが特徴的である.
三成分の蛋白質のうち最も少ない成分は窒素14.3% , リン8.2% を含み, リン含有量の多いことと水溶性蛋白質であることで前二者の蛋白質とは異なる.この蛋白質は鶏卵のフォスピチン様のリン蛋白質と考える.