広島大学水畜産学部紀要 7巻 2号
1968-09-30 発行

海産枝角類l乙関する研究-I. : Peniliaの生態について

Studies on the marine cladocerans-I. : A biological note on Penilia
遠部 卓
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抄録
 瀬戸内海備後灘に面する2定点において, 1966-1967年の1年間海産枝角類の調査を行なった.出現した5種のうちウスカワミジンコ,Penilia schmackeri RICHARD,について若干の観察を行ない,次のような結果を得た.
1) Penilia の出現は6月中句にはじまり,その後急激に増加して7月初旬に最高25,000f個体/m3 の密度に達した.以後急速に減少してゆき9月にはみられなくなった(Table 2).
2) 体長の分布は0.38-0.93 mm にわたるが,大別して大小の2群にわかれ,大型群は主として抱卵側体群より成る(Text-fig. 3).
3) Penilia の体長は出現初期から順次僅かながら小さくなるようであるが,雌1尾あたりの抱卵数は出現初期の平均7.5個より時日の経過とともにきわめて顕著に減少する傾向が認められ, 8月末には平均2.0個となった(Text-fig. 4).
4) いわゆる夏卵を有する個体の占める割合は,出現初期にすでに25%を示し,7月初旬に最高69%に達し,以後次第に低下して40%前後に至るが,途中6月末頃より,すなわち群集密度が最高に達する直前に雄個体とともに耐久卵をもっ雌個体が現われ,それら有性生殖{間体群の出現率は群集の消滅前に最高に達し10%に及んだ(Table 3,Text-figg.6).