広島大学水畜産学部紀要 7巻 2号
1968-09-30 発行

赤潮鞭毛藻lこ関する研究-I. : 福山沿岸水域に出現したEntmosigma sp. について

Studies on the red tide dinoflagellates-I. : On Entomosigma sp. appeared in coastal area of Fukuyama
岩崎 英雄
藤山 虎也
山下 栄次
本文ファイル
抄録
 1966年,福山市田尻附近に赤潮として出現したEntomosigma sp. をミクロピペット法で分離して無菌培養を行ない,その生理,生態について観察実験を行なうとともに栄養要求に関する二,三の実験を行ない,その発生要因について検討した.
1)この生物の至適塩分濃度は海水より僅かに低いS28.9‰ (Cl16.0‰)附近である.
2)海水lこ微量金属類および弱キレート剤(NTA) が添加されると,それぞれ50%,80 %程度増殖が促進される.
3)至適pHは7.5 で海水より低く, pH=7.5 からのずれとともに増殖は減少する.
4) 一般に海水lこ窒素,燐を添加するだけでEntomosigma sp. の増殖は促進されるが, その割合は海水の穏類によって異なる.
5) ビタミンB12 はこの生物の増殖に不可欠の重要素である. B12 類似物のうち,ベンジミダゾールを持つコパテミンはB12 と同じように作用し,B12 の代用ができる.この生物のB12 要求特性はOchromonas型といえる.
 以上の結果から,この赤潮の発生は降雨による降水の大量流入が主な原因と考えることができそうである.
内容記述
本研究の一部は昭和41 ,42年度農林水産特別試験研究費補助金でなされたことを附記し,あわせて感謝の意を表する.