広島大学水畜産学部紀要 7巻 1号
1967-07-31 発行

ハマチの外部寄生吸虫Benedenia seriolaeの生態に関する研究 : Ⅰ. 夏季における成長,産卵などについて

Studies on the biology of Benedenia seriolae, an ectoparasitic trematode on the yellowtail : I. on the growth and spawning of the fluke in summer
笠原 正五郎
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抄録
 ハマチの外部寄生吸虫Benedenia seriolae の生態について,その多数の寄生がみられた小割養殖場のハマチを用いて研究を行ない,これまでに次のような結果を得た.
1) 夏季(水温22°-26℃)においては虫体長は直線的に増加し,寄生初期0.5mm のものが寄生後20 日間で約5.8mm (成熟)に成長した.
2) 休形は成長lこ従って変化し,体幅の体長に対する割合は寄生初期は約40%で細長いが,体長4.8mmに達したものでは約60%となり成虫体形を示した.
3) 産卵は体長5.4mm 以上に達したものに多くみられ,その平均産卵数は5.8mm 前後のものでは170 , 6.7 mm前後では245 であった.
4) 生育適温の高温限界は約29℃ であると認められた.