Porphyrin が広く鳥類の卵の外皮に分布することは明らかにされているが,卵管における形成と卵への沈着の機序は明らかでない.別報で著者らは,卵の外皮の本色素の分布を示したが,今回は卵管の本色素の分布を検索した.材料としてウズラ,ニワトリ(ロード・アイランド・レッド,白色レグホーン)を用いて,次の結果を得た.
肉眼的には,各卵管の子宮部粘膜に特異的な禍色の帯色をみとめ,それと一致して赤色~桃色螢光がみとめられた.これらの性質から, porphyrin 色素が分布していることは明らかである.その色調と螢光はウズラで著名であるが,ニワトリでは淡く弱い.
子宮部組織の凍結切片の観察では, 3種の烏の各組織で粘膜上皮に限って赤色~桃色螢光がみとめられるが,ウズラで最も著名である.該上皮には,卵殻形成時のウズラで褐色色素穎粒が容易にみとめられるが,他のものでは検出し難い.何れの卵管でも,子宮腺には色素穎粒はみとめられない.
子宮部のパラフイン切片での詳細な観察では,ウズラとロード・アイランド・レッドで粘膜上皮に色素穎粒がみとめられるが,白色レグホーンではみとめられない.子宮腺lこは,何れでも色素穎粒がみとめられない.