広島大学水畜産学部紀要 6巻 1号
1965-12-20 発行

On the contents of therapeutically active components of Russian comfrey

ヒレハリソウの二三の特殊成分
Ikeda, Minoru
Tsubota, Junichi
本文ファイル
抄録
 ヒレハリソウは飼料作物としてのみならず,その花は観賞用として栽培されている.最近その特殊成分の研究が行われているので,著者等はアラントイン,タンニン,粘質物について検討した.
 アラントインは崎乳動物の尿や植物体中に存在し,特に植物の外傷治癒再生を助長促進する.ヒレハリソウのアラントインは夏季の根より春季の根に多く,地上部では花に多く葉に少なかった.
 タンニンは植物のあらゆる部分に存在し,鞍剤に用いられ,われわれの常用する茶葉などに多い.ヒレハリソウのタンニンは春季の根より夏季の根に多く,葉では夏季より春季に多く,花には少なかった.ペーパークロマトグラフィーによるヒレハリソウのタンニンは, dl-gallocatechol,lepicatechol ,gallicacid であった.
 粘質物は植物の特殊成分の一つである.ヒレハリソウの葉の水抽出物について粘度を測定した.ヒレハリソウの葉より分離した粘質物は,薄層クロマトグラフイーによるRf の値とスポットの色よりみて,大部分は粘質物の一般成分であるgalactose で,一部少量のglucoseが含まれていることを同定し得た.