Note on the fishing condition of the common octopus, octopus vulgaris CUVIER, in the Inland Sea of Seto, Japan
抄録
(1) 潮岬や足摺崎の沖合を通る黒潮水温の高低および内海沿岸各地の降水量が内海のタコの漁獲量に如何に影響をおよぼすかについて検討を行なった.
(2) 瀬戸内海の各水域におけるタコの年間漁獲量の年々変動をその漁獲の前年の潮岬,足摺崎,の4, 5, 6月及び7, 8, 9月の3カ月の平均水温と比較した.便宜上,水温は36年間の平均からの偏差で表示した.
(3) 潮岬や足摺崎の4, 5, 6月及び7, 8, 9月の黒潮干均水温の高温年が翌年のタコ生産に稍々良いことが36年間の資料を検討して窺われた.特に春季水温が内奥程其特徴を表わし夏季水温は外洋に近い海域では反対の場合を生じた.
(4) 瀬戸内海各府県の前年の降水量(6-10月)と当年のタコの漁獲量を比較したところ,大体において内奥程前年の降水量と逆の関係を示すことが窺わかたが外洋に近い海区でこの関係が明かでなかった.