広島大学水畜産学部紀要 5巻 1号
1963-12-20 発行

Location of sperms in the oviduct of the domestic fowl with special reference to storage of sperms in the vaginal gland

鶏の卵管内の精子の分布と局在,特に膣腺における精子の貯蔵について
Fujii, Shunsaku
Tamura, Tatsudo
本文ファイル
抄録
 鳥類は崎乳類と異なり交尾後かなりの期間卵管内に精子を保持していることはよく知られている.この研究は鶏の交尾後の卵管内の精子の分布と局在ならびに滞溜期間を卵管の切片標本によって組織学的に調べた.観察は受精後一定間隔毎の自然交尾および各種の方法による人工受精鶏の卵管によって行われた.
 調べた受精後約4週間以内の卵管30例はすべて精子を含んでいた.卵管内に多量の精子が長期間認められるところは卵管上部のカラザ部と卵管下部の腫起始部(腔関口より下方約1cmの間)の2部分であった.詳しい精子の位置はカラザ部では主に粘膜ヒダの間隙やカラザ分泌腺の腺腔であり,腫起始部ではこの部に特徴的に存在する大型の管状腺(股腺)の腺腔内であった. この所見は従来の卵管の内谷物からの塗抹標本による精子の分布の所見と一致するのみならず,さらに卵管の組織学的機造の面から精子の局在を明かにしたことになる.
 一般に腫腺がカラザ部より,より多量に且つ長期lζ 精子を保持していた. このことは従来の精子の貯溜郎と考えられていたカラザ部に対し,臆腺が一次的貯溜所の役割lを果しているように見える.