広島大学水畜産学部紀要 4巻 1-2号
1962-12-20 発行

Comparison of catches of two pound nets located at different distances from the shore

設置場所の異なる桝網の漁獲物の比較
Kakuda, Shunpei
Onbe, Takashi
本文ファイル
抄録
 内湾に設置された桝網について,その設置場所と漁獲物組成との関係を明らかにするために,瀬戸内海の小内湾である笠岡湾の桝網群の中より,岸に近い網と,同一漁場の沖側の網とを選び,1961年6月から1年間冬期を除いて毎週1回,それらの網の全漁獲物について調査を行ない,次の結果を得た.
1) 桝網の漁獲物は葎類数,尾数,漁獲量の何れにおいても,設置場所により,叉季節によって可成り変動した.
2) 岸の網の漁獲物の種類数は一般に沖の網のそれよりも多く,季節的には夏季が最も多かった.
3) 漁獲物の尾数の点については岸の網より沖の網が多かった.然し,漁獲量では非常に多量のマルアジが沖の網でのみ漁獲された8月と9月を除くと,漁獲尾数と反対に,沖の網より岸の網が多く,両網聞の漁獲尾数についても,叉漁獲量についても相関々係は非常に有意であった.
4) 桝網漁獲物の中では比較的魚体が大きく,重要魚と考えられるクロダイ,ボラ,メナダは主として岸の網によって漁獲された.然しこれらの魚種は一度に多数漁獲されることはなかった.
5) 主として沖の網によって漁獲されたものは,マルアジ,カタクチイワシ,イシモチ,テンジクダィ,ヒイラギ等の魚体の小さい魚,若しくは若年魚群であった.漁獲尾数で第1位に位したマルアジはその99%が沖の網で漁獲された.
6) 湾内に群をなして来治する魚種としてカタクチイワシ, トカゲエソ, トウゴロイワシ,アカカマス,マルアジ,スズキ,イシモチ,メイタガレイ,マコガレイ等が考えられる.