広島大学水畜産学部紀要 17巻 1号
1978-08-10 発行

海水のサルモネラ汚染ならびに汚染指標菌に関する研究 : II. 無菌海水中におけるサルモネラの消長

On the Contamination of Sea Water with Salmonella and Fecal Indicator Organisms : II. Changes of Salmonella in Natural and Aseptic Sea Water
川上 英之
橋本 秀夫
沢井 良子
本文ファイル
抄録
海域に流入したサルモネラが,どのような挙動を示すか,その動態を追究する目的で自然海水および無菌海水中でのモデル実験を行なった。
1: 自然海水中では接種したサルモネラは10℃>20℃>30℃の順に生残性を示した。
2: 無菌海水中ではサルモネラの生残性は自然海水中におけるよりも低く,しかもはっきりとした温度依存性を示さなかった。
3: 少量(<10/mlのサルモネラを接種した場合には,菌接種後,一度菌数が減少し,その後次第に増加した。
4: その場合,20℃および30℃に保持するとS.thompson単独例よりもE.coliとの混合例の方がS.thompsonの増殖する割合は低かった。
5: 海水中でのサルモネラの生残性は水温にかなり影響されることが示唆された。
内容記述
本研究の一部は昭和50~51年度文部省科学研究費(特定研究1「瀬戸内海の汚染と指標生物の動態に関する研究-代表者,藤山虎也教授」)によるものである。