広島大学水畜産学部紀要 17巻 1号
1978-08-10 発行

濃厚飼料の給与形態が反芻に及ぼす影響

The Effect of Different Forms of Concentrates on Rumination
谷口 幸三
山谷 洋二
大谷 勲
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抄録
原料が同一の配合飼料を市販ペレット,マッシュおよび結合剤を加えて硬く調製したペレットの3種の物理的性状の異なる飼料を山羊に給与し,採食時間,嚥下食塊の形状,第一胃内容pH値の経時的変化および反芻行動を観察した。その結果,採食時間はマッシュ,調製ペレット,市販ペレットの順に長かった。嚥下食塊はマッシュと市販ペレットでは反芻胃内に入ると直ちに崩壊したが調製ペレットは粗い形状で反芻胃内に滞留した。そのために採食後の反芻胃内pH値の低下が他の飼料に比べて比較的緩慢であり,また採食後の反芻開始が早くなる傾向を示した。反芻に伴う再咀しゃく回数は調整ペレット給与で多くなったが,山羊間に顕著な個体差が見られたため濃厚飼料の形態による違いは明確なものとならなかった。1日当りの反芻時間には飼料による差は見られなかった。