広島大学水畜産学部紀要 16巻 2号
1977-12-25 発行

On the Age and Growth of the White Croaker Argyrosomus argentatus

イシモチArgyrosomus argentatusの年令と成長
Kakuda, Shunpei
Matsumoto, Kenji
本文ファイル
抄録
瀬戸内海の漁業資源として,かなり重要なイシモチの年令と成長を明らかにした。すなわち瀬戸内海の中部水域で漁獲されたイシモチ406個体を用い,体長,体重および生殖腺重量を測定するとともに,鱗を年令形質として鱗径および標示径を測定して,次のような結果を得た。
1) 体長と鱗径との関係は一次式(R¯=0.271L-0.176)で示され,標示の相似性が認められること,ならびに標示は一定の周期で形成されることから,鱗は年令形質として適当である。月別に求めた鱗の最終標示を基準とした辺端成長率は年2回,2,3月と7月に極小になること,さらにWALFORDの定差図の吟味から,本種は標示を年2回形成する。しかし第1標示の欠落する個体が多い。
2) 産卵期は生殖腺指数の月別変化から6月-8月で,その盛期は7月と推定される。したがって第2標示は孵化後満1年で,第4標示は満2年で,第6標示は満3年で形成される。
3) 標示別の標準標示径組成から年令別の平均体長を求めると,孵化後満1年で9.7cm,満2年で15.7cm,満3年で20.2cmとなる。そしてこれらを体長-体重の開係式(W=3.96×10-2L2.793)によって,年令別の平均体重を求めると,満1年で22.6g,満2年で86.7g,満3年で175.2gになる。
4) 以上の知見から瀬戸内海のイシモチの成長式はLt=32.6(1-e-0.307t-0.046)と表せる。そして成長量が最大を示すのは孵化後2.83年を経過した時で,その時の体長は19.5cmであり,体重は159gである。