広島大学水畜産学部紀要 12巻 1号
1973-06-30 発行

絶食がめん羊の第1胃内容および血中遊離アミノ酸に及ぼす影響

Effects of Starvation on Rumen Liquid and Amino Acids of Blood Serum in Sheep
佐々木 正雄
山谷 洋二
大谷 勲
本文ファイル
抄録
めん羊2頭を8日間絶食させ,絶食が第1胃内容液および血中遊離アミノ酸に及ぼす影響を検討した.
1. 絶食により胃内容液諸成分はVFA,アンモニア,全窒素および全糖とも経時的に減少した.胃内pHは絶食により上昇し,8日後にはpH8.0に近ずいた.
2. 遊離アミノ酸総量は,血液中では8日間の絶食によっても減少しなかったが,胃内上澄液では絶食4日後にすでに絶食前値の1/10以下となった.血中遊離アミノ酸組成は,絶食により,リジン,グリシンが増加し,グルタミン酸,アラニンが減少した.胃内上澄液では,グルタミン酸,バリン,ロイシンの割合が増加し,リジン,アスパラギン酸,アラニンの割合が減少した.
3. 不可欠アミノ酸の可欠アミノ酸に対する比(E:N Ratio)は絶食により血液で0.87から1.15へと増加したが,胃内上澄液では0.71から0.75となり,有意な変化は認められなかった.