広島大学水畜産学部紀要 10巻 2号
1971-12-25 発行

実験動物としてのブルーギルサンフィッシュに関する研究 : II. 卵内発生と稚仔の成長

Studies on the Usefulness of the Bluegill Sunfish,Lepomis macrochirus Rafinesque,as an Experimental Standard Animal : II. On the Developmental Stages and Growth from the Egg through One Year
中村 中六
笠原 正五郎
矢田 敏晃
本文ファイル
抄録
Bluegill sunfishを実験動物として用いるための研究の一部として周年採卵を目的とした研究を行なっているが,その基礎資料として産卵習性に引続いて卵内発生,仔魚の成長及び0年魚の成長等について実験観察を行なった.

(1) 卵は直径1.23mm前後の粘着卵で,卵黄には1個の大油球(約0.38mm)と多数の小油球がある.
(2) 卵径は個体により,また同一個体でも産卵の度に変異があるが,親魚の年令,大きさ,産卵回数,産卵数等との間には一定の関係は見出されなかった.
(3) 水温24.5±1.0℃での孵化期間は平均40時間(37~43時間),28.5±1.0℃では28時間(27~29時間),18.5±1.0℃では79時間(75~85時間)であった.18.5℃のものは46%もの奇形率を示した.なお上記の3段階の水温での卵内発生の経過はTable 2に示した.
(4) 人工採卵によって得た卵の受精率,孵化率は自然産卵のものに比べてかなり低かった.
(5) 孵化仔魚は全長3.23mmで1.13×0.9mm位の卵黄を残し,体のどの部分にも色素胞の出現は見られない.
(6) ミジンコ類は最も適した初期餌料で,それによる成長はコペポーダ,輪虫によるものより速かであった.全長13mm位で鰭の棘,軟条の定数が現われ,14-15mmで鱗が出来,縞も認められる.
(7) 稚魚の全長瀕度分布曲線の検討によってトビの現象は認められないことが判った.
(8) 満1年で体長約5.3cm(3.0-8.3cm)に成長するが,雄は雌に比べて大きい.