広島大学水畜産学部紀要 10巻 2号
1971-12-25 発行

The Environmental Factors on the Lamb Growth, Analytically Studied with Extra-Seasonal-Lambs : IV. Wool Growth and the Effects of Environmental Factors

季節外生産羊を利用しためん羊発育に及ぼす環境要因の解析的研究 : IV 羊毛の成長と環境要因の影響
Mimura, Ko
Asahida, Yasushi
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抄録
21頭の季節外生産羊と8頭の正常羊とを1957年~1963年発育試験し,生後1カ年(雌),半カ年(雄)における子羊発育のパターンとこれに及ぼす季節の影響については前報に報告した.これと同時に実施した羊毛の成長とこれに及ぼす環境要因の影響に関する成果を本報で報告する.

1. 右mid-sideに1cm角に入墨した皮膚面より刈取った洗上げ羊毛重量の変化をみると,いずれも生後3~4月間に最高を示した.また春季に急増し,秋・冬季に減少の傾向のみられたことも興味深い.羊毛生産量は特に皮膚面積,長さと太さおよび,繊維数の函数と認められるが,子羊の発育初期においては,密度は当然減少するが,その他は全て増加の相(BRODYのself-accelarating phase)にあると考えられ,冬季生産羊の羊毛成長の変化はこのことを明瞭に示している.

2. 向上部位に成長した繊維数は全て3月令までに急速に増加し,以降そのレベルを維持するか増加したが,初夏生産羊では6月令以降すなわち冬~春季にかけ急減した.

3. 単位皮膚面積当り繊維数は,三村(1956)と同様減次減少するが,冬季生産羊では1月令に生時より大となった.羊毛密度は皮膚面積増大率と繊維数増加の両面から検討を要するであろう.

4. 繊維の太さの変化は,一般に3,4月令まで増大,4~6月令に細くなる傾向が認められた.LYNEら(1970)は,暑さは太さを減じるが寒さは太さを減じないと報告している.結果は秋~冬季に繊維の太さを減じる傾向が認められた.わが国西南暖地の冬季の寒さはきびしくないから,この事実は短日と栄養状態の低下に起因することを暗示している.